家族が亡くなった後は不動産の名義変更や相続など、さまざまな手続きが必要で忙しくなりますが、故人が生前愛用していた思い出の品などの遺品整理を行うことも重要です。家族を失った悲しみから立ち直るまでに精神的なダメージが大きく、その状況の中での遺品整理は大変な作業です。
「遺品整理はどんなタイミングで始めたら良いのか」「遺族だけで進めるのは難しいので専門の業者を探している」といった悩みを抱える多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では遺品整理を行うタイミング、遺品整理専門の業者選びのポイントと費用相場について解説します。
高齢の単身世帯や「おひとりさま老後」にありがちな孤独死のテーマも取り上げてみましたので、ぜひ最後までお読み下さい。
生前に故人が残していた物や思い出の品を残された遺族によって整理・処分されることを遺品整理と言います。その具体的な事例として、生前に故人が大切にしていた絵画や骨董品などの芸術作品、宝石などの貴金属類、家具・カメラ・アルバム・手紙などの物があります。
生前故人が契約していたクレジットカード・キャッシュカード・銀行預金通帳・有価証券など財産としての価値が明確なものも遺品に含まれますが、これらの貴重品は相続財産となります。相続財産は故人の遺族である相続人同士で話し合い、争い事にならないように円満な形で、相続をつつがなく行うことが肝心です。
デジタル遺品とは、故人が生前愛用していたパソコン・スマホ・タブレット・デジカメなどの電化製品や小物家電です。インターネット上やクラウド上に保存したデジタルデータ (写真・画像・テキスト文書など) もこれに含まれます。
故人が生前に取得していたLINEやFacebookなどのSNSのパスワードやID、メールアドレスなどの情報もデジタル遺品の一種です。クラウド上にあるデジタルデータは現物がないため、遺品整理を行う際には忘れ去られてしまう可能性があります。
預金通帳があれば現金としての財産 (遺産) があることを把握できますが、ネットバンキングやFX、仮想通貨など、インターネット上での取引をしていた場合は、生きているうちに情報管理して、その所在が家族にわかるように伝えておく必要があります。
デジタル遺品を見逃すことなく、デジタル遺品の整理を適切に行うための対策として、元気なうちにエンディングノートに書き記しておいて、情報管理を明確にしておくと良いでしょう。故人のプライバシーやインターネット上のセキュリティの観点からも、デジタル遺品を適切に整理・処分することが重要です。
遺品整理を行う時期はとくに決まっていません。そもそも遺品整理は相続や市区町村役場への届出の必要がないため、「亡くなってから何日以内」といった期限はありません。ただし、生前の故人の居住状況や生活環境によっては、早めに行う必要が出てくることもあります。
遺品整理を行う時期はとくに決まっていません。そもそも遺品整理は相続や市区町村役場への届出の必要がないため、「亡くなってから何日以内」といった期限はありません。ただし、生前の故人の居住状況や生活環境によっては、早めに行う必要が出てくることもあります。
故人が生前契約していた保険・クレジットカード・預貯金などの名義変更や解約手続きに追われて多忙になり、遺品整理まで手が回らなくなります。葬儀後に必要な手続きを先に済ませてから、遺品整理を行うことで気持ちに余裕が持てるようになります。
宗派によっても違いがありますが、初七日の法要の後、四十九日の法要が営まれるケースもあれば、初七日から四十九日まで七日ごとに小さな法要が行われる場合もあります。
四十九日法要や百か日法要には遺族が集まって食事をする機会となりますので、このタイミングで遺品整理を行う事例も多いです。
「元気なうちから必要な物と不用な物、家族に渡す物を分けておきたい」「自分が亡くなった後に遺品整理で家族に迷惑をかけたくない」という想いから、生前整理を行う人も増えています。生きているうちに生前整理を行うことで余分な不用品や粗大ごみを減らして、自分が愛用している持ち物の行く先も把握できるので、家族への負担もなくて済みます。生前整理は生きている間に本人が自主的に行い、遺品整理は故人の遺族が行うのが大きな違いです。
次に、遺品整理の費用と料金相場を見ていきます。
遺品整理の費用と料金相場は、処分する物の容量や大きさ・部屋の広さ・作業時間の長さによっても変わってきます。故人が生前1LDKの間取りのマンションに住んでいた場合、遺品整理の料金相場は9万円 ~ 18万円程度、2LDKでは10万円 ~ 21万円程度です。
ただし、遺品整理専門の業者が独自に価格設定しているため、あくまでもひとつの目安として捉えておいて下さい。地域性・業者の事業規模・作業スタッフの人数・サービス内容によっても格差が生じます。実際にかかる費用は、事前に業者から見積もりを提示してもらうことで、正確な料金が把握できます。
遺品整理を専門の業者に依頼した場合に、その時にかかった費用について相続税の計算を行う際に、控除することはできるのでしょうか。
相続税で控除の対象となるのは、寺院や葬儀社に支払う葬式・通夜などの費用です。これらの費用は「遺産総額から差し引きできる債務」に区分されます。
一方、香典返し・墓地購入費用・遺品整理にかかった費用は、相続税法における控除の対象外となります。遺品整理の費用の控除について不明な点があれば、相続税の分野に精通した税理士などの専門家へのご相談をおすすめします。
遺品整理の手段と進め方は遺族で行う方法と、不用品回収や遺品整理専門の業者に依頼する方法があります。
遺品整理を行う際には遺族が集まって個人的な形で行うのが一般的です。葬儀が終わってしばらくして落ち着いた時期に遺族が集まり、故人の思い出話をしながらなごやかな雰囲気で形見分けとして遺品整理を進めるのが最も理想的です。
遺品整理自体は期限がないので無理に急いで行う必要はなく、四十九日法要や百か日法要のタイミングで行うケースが多いです。
故人の遺品の量が多い場合や、遺族だけでは遺品整理を行うのが困難な場合は、専門の業者に依頼しておくと良いでしょう。遺品整理専門の業者の多くが不用品回収や買取サービスを行っています。粗大ごみや不用品を処分したい、不用品を買取してほしいと行ったニーズがあれば、遺品整理と合わせて依頼することも可能です。
遺品整理専門の業者数が多く、さまざまなポイントで比較してみて良心的な業者を慎重にお選び下さい。
優良な業者選びのポイントとして、保有資格や実績について着目してみて下さい。遺品整理士の資格保有者が在籍している会社、遺品整理の実績が豊富な業者であれば、信頼性が高いです。
遺品整理士の資格保有者がいれば、故人の遺品を処分する際に遺族とのコミュニケーションもスムーズです。遺族の悲しみに寄り添って故人の遺品を大切に取り扱い、専門家の視点から適切なアドバイスを行い、最適な提案をしてくれます。
気になる業者があれば複数社ピックアップしてみて、相見積もりを取っておくことをおすすめします。各社のサービス内容や見積もり価格をチェックしておくことで、料金相場を把握できます。電話やメールでお問い合わせの際には、スタッフの対応の良さやレスポンスの速さも要チェックです。
遺品の種類によってはそのまま処分するのではなく、神社や寺院で供養すべき物が出てくることもあるでしょう。
終活事業の一環として、遺品の供養サービスを提供する業者もあります。業者では出来ない場合は、供養や読経などの儀式にも対応できる寺院や神社を紹介してもらえる場合もあります。
高齢化や非婚化が進んでいる中で、単身高齢者の増加や「おひとりさま老後」の問題も深刻化しています。
身よりがいない天涯孤独の人やひとり暮らしの人が、突然事故に遭って亡くなった場合や、賃貸住宅で孤独死・孤立死した場合は、特殊清掃や原状回復が必要となってきます。
これまで借りていたマンションなどの賃貸住宅の契約が終了する際には、賃貸開始時の状態に戻しておく義務が生じます。これを不動産の専門用語で「現状回復義務」と言います。
万が一、賃貸住宅で孤独死・孤立死した場合は亡くなった理由を問わず、特殊清掃を行う必要も出てきます。不用品回収サービスを展開する業者によっては、不用品の処分や遺品整理だけではなく、特殊清掃にも対応可能な会社もあります。
万が一の事態が発生した際には、特殊清掃や原状回復に対応できる業者探しが必要となりますが、それ以前に孤独死・孤立死を未然に防ぐための対策を講じておくことが肝心です。普段から人間関係が希薄にならないように、地域住民との繋がりを大切にしながら、自治体や社会全体で積極的に支え合う取り組みも必要となります。